さて、出発したからには、ひたすら歩くだけだ。
初めての体験だし、ガキんちょの遠足みたいなものだ。
すぐに1年から3年まで入り乱れて、騒然とした中を歩く。
最初の検印所である韮崎まではノンストップだ。トップを目指す人たちは、ワラジを履いてかっ飛んでいくそうだ。彼らは明日の未明から早朝にかけてゴールするらしい。アホだ。
こういう場合、オレたちの決まり文句は
「人間じゃねー」というものだった。
韮崎といえば、ニラコーだ。
全国的に有名なサッカーの名門、韮崎高校だ。
かのナカータもここの出身だ。
当時も、アタマ3つか4つは抜けて強かった。
オレたち弱小進学校は、彼らと当たるまで勝ち上がることさえなかった。
サッカー部の部室にはマジックでデカく
“打倒!韮崎”
と書いてあったが、韮崎の大きな文字の横に、見えるか見えないかの小さな字で
“西中学”と書き足してあった。クー
部室のカベには様々なイタズラ書きがあった。
ほとんどは、放送禁止用語と放送禁止マークの類で、
ここで発表できるシロモノではない。
今も昔も、ヤリたい盛りの高校生が書くイタズラ書きに、
品性があるはずがない。
女子マネージャーもよくぞ、あんな汚く臭い部室に出入りできたものだ。
オレが自分で書いて憶えているのが、「64歳になっても」というヤツだ。
どこかの企業のコマーシャルのコピーをいただいたものだ。パクるのは当時から上手かったのだ。確か出だしはこんな感じだったと思う・・・
ほら、ビートルズが歌っていたね
歳をとって孫を抱くようになっても
君のことは忘れないよ、っていうあの歌・・・
・・・以下、忘れた(笑)10行ほどあったと思う。
これを全部かっぱらって、製品名のところを“サッカー仲間”と入れ替えて、
一番目立つところに油性マジックででかでかと書いた。
つまり、ジジイになってもサッカー仲間は永遠だ!みたいなメッセージを残したわけだ。 ウワー、キモいとか言うな、そこ。
しかし、このイタズラ書きは、たび重なるペンキ上塗りにも負けず、かなり後世まで残り(笑)社会人になってチームメイトになっただいぶ後の代の後輩から、「あ、あれ見ました。へえ、デコっぱちさんの作品でしたか」とか言われた時は、なんだかうれしかった。
さて、だいぶ道草を食ってしまった。
まだ、韮崎に到着してもいない。クー
よし、次回からペースを上げることにして、今日はここまで。