Decoっぱちな夜

強行遠足 8

 「臼田の依田さん」

 ふるさと山梨ではさっぱりお目にかからないが、
長野県では、学校が設けているチェックポイント以外に
地元の人たちがまったくの個人の善意で、休憩所を作ってくれていた。

 道ばたにテーブルとイスを並べ、その上にお茶やお新香が
無造作に置いてあるだけの簡易休憩所だ。
そう、野菜の無人販売所みたいな感じだ。

 “臼田の依田さん”というのは、
その代表というか、シンボルのような存在だった。
もともとは、地元の牛乳屋さんなのだが・・・









 強行遠足の日は、お店の駐車場を開放して
我々のために盛大に炊き出しをする、という
思わず手と手を合わせ幸せ、もう、拝むしかないありがたいお方だ。

 強行遠足の話は、サッカー部の先輩などから
折に触れ聞かされてきたが、誰もが例外なく言うのが
“臼田の依田さん”のことだった。

 「とりあえず、あそこまでは行っとけ」
 「一度は臼田の依田さんに会いてーなー」とかね。

 つまり、“臼田の依田さん”というのは、男子生徒の
あこがれであり、大きな目標でもあったのだ。

 もっとも、どの人が当の依田さんなのか、特定できなかったが^^

「私がウワサの臼田の依田さんヨ」なんて自己紹介するはずもないしね。

 炊きたてのご飯で作るオニギリは、ちょっとデカめで
シンプルな塩ムスビだが、これが美味い! 泣きそうになるくらい美味い。

 「今まで生きてきた中で、いちばんおいしーです」
と、岩崎恭子ちゃんのセリフでもパクってしまいたいほどだ。
・・・もうパクってるし。

 あと、牛乳(びんのヤツね)とリンゴももらえる。
なんか配給をもらっている避難民のようだが、
憔悴した感じだけは、似てたかもしれない。

 結局、3年間で依田さんちの鮮明な記憶があるのは、この1年の時だけだ。
2年の時は、ここまで来ることはなかったし
絶対立ち寄ったはずの3年の時の記憶は、なぜかさっぱりない。

 さて、雨にぬれたイヌのような状態で、
オニギリ、牛乳、リンゴ、の豪華3点セットをいただいていると、
前の通りを、当初の4人組のひとり「バカのウエムラ」が通過していく。

 “臼田の依田さん”をスルーするとは!
ふだんからバカとは思っていたが、これほどのバカとは・・・

・・・つづく
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by deco-kubo23 | 2005-08-12 20:41 | 夜のピクニック
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