さて、韮崎に着いたことにしてしまおう。
ちゅーか、道中のことはほとんど憶えていない。
甲府から韮崎まで、直線で15キロ位のものだと思うが、やはり長い。
ここでリタイヤするヤツもけっこういる。とっとと帰ってお勉強に励むのだ。
そんなぁ、1日ぐらい・・・と思うのは凡人で、いいとこの大学目指すヤツは、のんきな事など言ってられないのだ。
凡人そのもののオレたちは、ま、とりあえず先へ進むのだ。
どこらあたりで“夜のピクニック”状態になっただろうか。
清里の前の弘法坂あたりでは、すでに真っ暗だったはずだ。
各自が懐中電灯を持っていたが、夜の闇の圧倒的な深さには、ものの役にもたたなかった。当時の141号線はたいして照明もなく、車の通行も少なかったので、それはそれは暗く、まさに、ハナをつままれてもわからない状態だった。
先生やOBたちが乗って巡回する車のヘッドライトだけが、長い坂を照らし出した。
ここらあたりで、足はすでに棒のようになる。“棒のよう”とはよくいったもので、硬くて重いものがケツから生えているようなもんだ。歩いている最中はそれほど気にならないが、いったん止まって休憩すると・・・棒になる(笑)再び歩き出すのが大変だ。
しかし、このあたりまでは単に“足が棒”ですんでいた。
いや、もう精神的な苦痛も出てきていたかもしれない。とにかく次の休憩ポイントまでが待ち遠しくてたまらない。しかも、まだ全体の半分も来ていないのだから、残りの距離に圧倒されるのだ。そういう意味では、はるか時間がたってから経験する富士登山にちょっと似ている。
まだ当初の4人組で行動していたと思う。
運動には向き不向きがあるし、得意な分野もそれぞれ違う。だから感じる苦痛も4人それぞれだ。だからグループ行動には長所も短所もある。励ましあったり、他のヤツがいるからがんばれることもあるが、反面、足を引っ張ったりイライラすることもある。
私はこれ以降、2,3年の時は基本的には単独行となった。
次のチェックポイントは野辺山だ。
日本のJRの駅で、標高が最高到達地点にある。
そして、伝統の「しじみ汁」が、ふるまわれる場所でもある。
強行遠足の2大伝説がここ「野辺山のしじみ汁」と、「臼田の依田」さんだ。
・・・つづく